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sketch698

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4月17日
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外でスケッチを描いていたら、6人のちっちゃな子供たちに囲まれた。上は中学1年生くらいから下は3〜4歳という不思議なグループ。

どうやら兄弟のよう。今では珍しい大家族。一番上の(中学生くらいの)長男は口数少なく少し離れて小さな弟たちを親代わりに見守っている。

物静かな長男に代わって我が物顔で小さな弟たちを指揮しているのが(小学4年生くらいの)長女。見知らぬ私にも臆することなく話しかけてくる。

相手をするのが面倒なので、初めは無視してスケッチをつづける。兄弟たちはそんな私にお構いなしに、絵の道具、

鉛筆やパレットの絵の具等に興味深々の様子で勝手に触って遊んでいるが、(まあ壊れるものでもないので)やりたいようにさせておく。

しかしそのうち、一番年下のまだ歩きもおぼつかない感じの弟が鮮やかな色の並んだパレットに手を伸ばし、絵の具を舐める心配がでてきたので

スケッチを中断し、その子からパレットを遠ざけるとともに、その理由を説明する必要から彼らと話を始めた。

いくつかの絵の具は人体にとって有毒であることを説明し、スケッチブックの他の絵も見せつつ、しばし歓談。

怖いおじさんではないことがわかったのか、下から3番目(小学校1年生くらい)の三男が「練り消しゴムがほしい」といいだす。

子供にとっては、ビローンと伸びる遊び道具に映るのか。予備も持っていたので、まあいいかとひと塊の練り消しゴムをその三男にあげると、

長女がそれを取り上げ、「みんなで平等に分けるの!」とリーダー風をふかす。

しかし長女は平等と言いながら、何故か「小学生以上に平等」という(不平等な)条件をつける。どうやらその条件から外れたらしい四男が泣き出す。

どうしたと聞くと、「だってボクは小学生じゃないもん」というので、仕方なく、もうひと塊の練り消しゴムをその四男にあげる。

その頃には問題の長女はもらった練り消しゴムに散った桜の花びらをいくつも貼り付けることに夢中で、他の兄弟のことは眼中にない。

 

私はなんとなく集中力をそがれ、店じまいをしてその場を去ったが、帰ってスケッチをみると、画の右上の辺りが絵になっていない。

もう少し粘って絵になる要素を掴んでから帰るべきだったかと反省する。